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ニュースリリース



全国鳥類繁殖分布調査(2016-2021年) 成果のニュースリリースについて

2021年10月25日


                            鳥類繁殖分布調査会
 特定非営利活動法人バードリサーチ(事務局)
 公益財団法人日本野鳥の会
 公益財団法人日本自然保護協会
 日本鳥類標識協会
 公益財団法人山階鳥類研究所
 環境省生物多様性センター


 ● 成果のポイント

  ・全国2,106人のボランティア調査により日本の鳥の現状が明らかになった。
  ・日本で繁殖する278種について1970年代,1990年代,現在の分布図を作成した。
  ・増加傾向,減少傾向にある種の特性やレッドリスト掲載種の現状が明らかになった。  
    増加している種:外来鳥,樹林性の種など。
    減少している種:開けた場所の種,小型の魚食性の種など。
 

 鳥類繁殖分布調査会は、自然環境保全基礎調査の一環として、2016年から2021年にかけて「全国鳥類繁殖分布調査」を実施しました。この調査は1970年代の1回目、1990年代の2回目の調査が環境省の調査として行なわれましたが,約20年ぶりとなる今回の調査は、研究者や市民等のボランティア参加による調査として実施し、NPO、NGO,環境省及び研究者等と協働で結果をとりまとめました。2,106人の参加者の協力のもと、全国の2,344地点で調査を行い、379種の鳥類の情報が記録されました。
 そのうち、一部の絶滅危惧種を除き、国内で繁殖する(あるいは可能性のある)278種(+3亜種)について繁殖分布図を作成しました。
 また、過去2回の調査と結果を比較することで、レッドリスト掲載種の分布の変化や外来鳥や樹林性の鳥の分布拡大、農地など開けた場所のスズメやツバメといった身近な鳥や小型の魚食性の鳥の減少などの変化が明らかになりました。調査で得られた結果は、生物多様性保全施策や環境アセスメント等における重要な基礎資料として活用が期待されるものです。


1.調査概要
 全国鳥類繁殖分布調査は、自然環境保全基礎調査の一環として、1974-1978年調査(以下「1970年代調査」という)及び1997-2002年調査(以下「1990年代調査」という)において、計2回実施しています。3回目である2016-2021年調査(以下「2010年代調査」という)は、国内で繁殖する鳥類について、現在の分布状況を明らかにするとともに、過去の調査結果との比較により、繁殖鳥類の分布変化を把握するために行ったものです。本調査は、環境省生物多様性センターと、野鳥観察者や研究者とのネットワークを持つ5団体からなる「鳥類繁殖分布調査会」が共催し、2,106人のボランティアの方々によって実施されました。
 現地調査は、全国に設置した2,344地点で実施しました。また、アンケート調査や他の調査で得られた情報の収集も行い、専門家ヒアリングを踏まえ、繁殖分布図を作成しました。

2.繁殖分布図について
 得られた調査データに基づき、分布状況と繁殖ランク(ヒナの世話や求愛など、繁殖行動が見られたかどうかをランク付けしたもの)を地図に示した「繁殖分布図」を、種ごとに作成しました。繁殖分布図では、収集したデータを、約20km四方のメッシュごとに集計し、各メッシュにおける繁殖ランクを色分けして表しています。分布状況と繁殖ランクの時間変化が分かるよう、繁殖分布図には、1970年代調査及び1990年代調査の図も掲載しました。また、1990年代調査との比較にあたっては、現地調査結果の調査コースの変更度合いが25%未満で、かつ、1990年代調査とおおむね同じ方法で調査を行うことができた1,947地点を対象としました。あわせて、繁殖分布図には、種ごとに分布の変化や生態的特徴について記載しています。

(その他の種の分布図は別紙「繁殖分布図の例」参照)

3.主な調査結果
 1990年代調査及び2010年代調査を比較し、記録された調査地点数(以下、「記録地点数」という)及び、観察された個体数(以下、「総個体数」という)の変化が大きい15種を明らかにしました。
(別紙「1990年代調査からの増減15種」参照)

(1)環境省レッドリスト掲載種
 環境省レッドリスト2020掲載種のうち、ヤイロチョウ、オジロワシ、サンショウクイ等では、メッシュ数及び現地調査の記録地点数が増加しました。
  一方、シマアオジ、アカモズ、コアジサシ等はメッシュ数及び現地調査の記録地点数が減少しました。
 (別紙「レッドリスト掲載種の分布変化」参照)

(2)増加した種
<外来鳥>

 ガビチョウやソウシチョウをはじめとした、外来鳥の記録地点数や総個体数が顕著に増加しました(別紙「1990年代調査からの増減15種」参照)。
  ガビチョウは、積雪量の少ない地域を中心に分布が拡がり、1990年代調査と比較すると、より広範囲で見られるようになりました(別紙「増加した種」参照)。
<樹林性の種>
 1990年代調査から、記録地点数や総個体数が増加した種の多くは、サンショウクイやキビタキなど、樹林に生息する鳥類でした(別紙「1990年代調査からの増減15種」参照)。
  生息環境が多様で、食物も類似しているホオジロの仲間について、生息環境と分布の変化の関係性を見たところ、樹林性の種であるクロジやミヤマホオジロは分布が拡大し、湿地性の種であるシマアオジやオオジュリンは縮小していました(別紙「増加した種」参照)。

(3)減少した種
<開けた場所の種>

  アマサギ、ツバメ、ムクドリ、スズメなど、農地など開けた場所を利用する種の総個体数が減少していました(別紙「1990年代調査からの増減15種」参照)。
 ツバメ及びスズメでは、1990年代調査時の農地の割合が高い場所ほど、個体数の減少幅が大きいという傾向がありました。(別紙「減少した種」参照)

4.調査結果の公開について
 本調査の結果は、報告書として「全国鳥類繁殖分布調査報告日本の鳥の今を描こう 2016-2021 年」(鳥類繁殖分布調査会 2021)にまとめられており、以下のWebサイトで閲覧・ダウンロードできます。
 全国鳥類繁殖分布調査Webサイト https://bird-atlas.jp/pub.html

 また、調査データは、環境省生物多様性センターのWebサイト「いきものログ」で閲覧・ダウンロードすることができます。
 いきものログWebサイト https://ikilog.biodic.go.jp/ Investigation?invReq=detail&eventremarks_id=279&group_id=1

     

 問い合わせ先
  鳥類繁殖分布調査会 事務局 植田睦之(バードリサーチ) 
  bbs@bird-research.jp  Tel: 042-401-8661



 添付資料(こちらからダウンロードできます)
 ž 繁殖分布図の例
 ž 1990年代調査からの増減15種
 ž レッドリスト掲載種の分布変化
 ž 増加した種
 ž 減少した種


この情報は,環境省生物多様性センターからニュースリリースされているものと同じ内容のものです。
多様性センターからのニュースリリース(http://www.env.go.jp/press/110125.html

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